世界最大のファッショングループLVMHとは?気になる傘下ブランドは?

誰もが知るラグジュアリーブランド「ルイ・ヴィトン」、「ディオール」、「フェンディ」。



これらのブランドの共通点が、同じLVMHグループ傘下と言うことです。



LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)は、フランス・パリを拠点とする世界最大のファッショングループ企業として知られ、他にも傘下ブランドには「セリーヌ」、「ロエベ」、「ティファニー」と言った世界的に有名な一流ブランドが名を連ねており、巨大ブランド帝国を築き上げています。



元々はルイ・ヴィトンと世界有数のシャンパン製造会社であるモエ・へネシー社の両社が合併したことで誕生したLVMHですが、なぜここまで多くのブランドを所有する巨大グループ企業へのし上がっていったのか不思議に思う方も多いのではないでしょうか?



そこで今回は、LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)について、深く掘り下げてご紹介します。

LVMHとは?



LVMHとは、エルヴェエムアッシュ モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンの略称で、世界最大のファッション業界大手企業です。



ファッションブランドだけでなく、ウォッチ&ジュエリーブランドやワインブランド、化粧品ブランドなど、世界的に有名な数多くのラグジュアリーブランドを傘下に持ち、保有ブランド数は70を超えます。



LVMHは、「カルティエ」や「ヴァンクリーフ&アーペル」を保有する「リシュモン」、そして、「グッチ」や「バレンシアガ」を保有している「ケリング」と並ぶ、「世界ラグジュアリー3大グループ企業」として称されており、この3つの企業はライバル関係でもあります。



LVMHの時価総額は2021年現在、2,645億5,000万ユーロ(約34兆1,270億円)で、これはヨーロッパで最も企業価値の高い企業となっており、現在も世界有数のトップ企業として発展し続けています。

LVMHが巨大ブランド企業に発展した理由とは?



今では75ものラグジュアリーブランドを保有する世界有数の大企業へ発展したLVMHですが、巨大ブランド帝国を築き上げるまでに成長を果たした理由には、ブランドの現CEOであるベルナール・アルノー氏の優れた経営手腕が大きく関係しています。



フランスの大富豪であり有名実業家であるアルノー氏は、クリスチャン・ディオールの大株主でもあったことから、LVMHの株を取得する際に経営に加わるようになり、その後もグループ傘下ブランドの株を次々と取得し続け、経営権を獲得すると、やがて会長に就任することになります。



会長に就任後、アルノー氏は目を付けたラグジュアリーブランドを次々と買収し、手中に収めていくようになり、こうした買収スタイルは不透明で攻撃的でもあったことから、一部から「ターミネーター」や「カシミヤを着た狼」などの異名で呼ばれるようになってしまいます。



しかし、アルノー氏は、ただ有名ブランドを手中に収めていっただけではありません。



各傘下ブランドのビジネス戦略も緻密に行っており、有名なデザイナーの起用やプロモーションの強化など、販促活動をこれまで以上に行うことで知名度も売り上げも大幅に上昇するようになり、アルノー氏の卓越したブランド戦略は、今も世界中から注目を集めています。

LVMHの歴史



LVMHが生まれたルーツは16世紀にまで遡り、ソバージュと言う家族がフランスでブドウ栽培とワイン造りを始めたのが起源とされています。



その後、1729年には世界初のシャンパーニュメゾンをニコラ・ルイナールと言う人物によって設立します。



1743年、クロード・モエによって「モエ・エ・シャンドン」を設立します。



フランスを代表するシャンパンメーカーとして台頭し、ナポレオンやポンパドゥール夫人と言ったフランス貴族も愛飲していたと言われています。



19世紀には、メゾンヘネシーがコニャックを世界に向けて輸出し、フランスを代表するブランデーメーカーとして世界的に認められるようになります。



1854年、ルイ・ヴィトン氏が、フランス・パリの高級ブティック街カプシーヌ通りに旅行鞄専門店をオープンします。



1968年、売り上げが低迷し、衰退していたフランスのラグジュアリーブランド「ディオール(DIOR)」をモエ・エ・シャンドンや、コニャック「ヘネシー」などの販売権を持つ「モエ・ヘネシー(Moët Hennessy)」が買収。



1987年、「ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)」が、「モエ・ヘネシー」と合併することを発表し、「LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)」を設立します。



合併した当初は、それぞれの経営群が対立をしてしまい、順調とは言えない滑り出しでしたが、フランスの実業家であるベルナール・アルノー氏が経営に加わったことで軌道に乗せることに成功し、その後アルノー氏はLVMHのCEO(会長)に就任します。



1988年、フランスのラグジュアリーブランド「ジバンシィ (GIVENCHY)」のファッション部門を買収。



後に宝石部門も買収し、保有するようになります。



1993年、フランス発のラグジュアリーブランド「ベルルッティ(Berluti)」を買収。



1996年、かねてから販売権を獲得していたスペイン発のラグジュアリーブランド「ロエベ(Loewe)」を買収。



さらに同年、フランスのラグジュアリーブランド「セリーヌ」がLVMHグループ傘下に入り、ブランド改革を図る為にマイケル・コース氏をチーフデザイナーとして招き入れます。



1999年、LVMHがウォッチ&ジュエリー部門を設立します。



また、この年、LVMHはイタリアのラグジュアリーブランド「プラダ(PRADA)」と合弁会社「LVP」を設立します。



この会社はイタリアのファッションブランド「フェンディ(FENDI)」を買収することを目的に設立されたと言われていますが、2001年にプラダが経営難になったことでプラダが保有していた合弁会社の株が全てLVMHに買い占められると、LVMHがフェンディの筆頭株主となり、フェンディはLVMHグループ傘下に入ることになります。



2021年、アメリカを代表するジュエリーブランド「ティファニー(Tiffany&Co)」を買収。



買収額は歴代で最も高額な162億ドルと言われています。

LVMHの傘下ブランド



LVMHが保有しているブランドは、ファッション&レザーグッズ、ワイン&スピリッツ、パフューム&コスメティックス、ウォッチ&ジュエリー、セレクティブ・リテーリング、その他の活動の6つの事業に分類されており、その全てがラグジュアリーブランドです。



ここでは、ファッション&レザーグッズブランドを中心に、LVMH傘下ブランドを一挙にご紹介します。

1.ファッション&レザーグッズブランド



・ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)

LVMHを代表するフランスのラグジュアリーブランド「ルイ・ヴィトン」。

トランク職人であったルイ・ヴィトンによって1854年に創業し、それ以降、誰もが知る「モノグラム・ライン」を始めとする様々なアイコンを世に送り出し、現在もラグジュアリーブランドの王者に君臨しています。



・ディオール(Dior)

1946年創業のフランスのラグジュアリーブランド「ディオール」。

最初のコレクションで発表したウエストを絞った女性らしいエレガントなニュールックスタイルは、当時のファッション界に多大な影響を与え、ディオール氏の引退以降もイヴ・サンローラン氏を始めとする、才能溢れるデザイナーによって伝統が受け継がれています。



・ロエベ(LOEWE)

1846年にスペインで創業したラグジュアリーブランド「ロエベ」。

世界有数の高級皮革製品ブランドであり、高品質なレザーを使用し、熟練したレザー職人によって生み出されるこだわりのレザーアイテムの数々は、スペイン王室御用達としても知られ、世界中のセレブリティから支持を得ています。



・フェンディ(FENDI)

イタリアを代表するラグジュアリーブランドとして知られる「フェンディ」。

毛皮製品と皮革製品を扱うブティックからスタートしたフェンディは、革新的な毛皮製品のヒットによって事業を拡大し、現在は毛皮やレザーアイテム、アクセサリーなど、様々なアイテムを展開するトータルファッションブランドへ躍進を遂げています。



・ジバンシー (GIVENCHY)

1952年創業のフランスのラグジュアリーブランド「ジバンシィ」。

エレガンス、洗練、そしてフェミニティと言う概念の元、優雅で女性的なデザインを多く打ち出していることから、有名セレブリティや王侯貴族からも愛されており、1961年に公開された、映画「ティファニーで朝食を」で、オードリー・ヘプバーンが着用したジバンシィのブラックのドレスは、映画史に残るアイコニックなドレスとして、今も多くの人々も魅了しています。



・セリーヌ(CELINE)

1945年創業のフランスのラグジュアリーブランド「セリーヌ」。

第二のエルメスのバーキンバッグとも呼ばれる「ラゲージバッグ」や、ショッピングバッグをイメージした「カバ」など、特徴的なデザインのバッグを数多く展開し、幅広い年齢層の女性から支持を得ています。

現在は鬼才デザイナーであるエディ・スリマン氏がクリエイティブ・ディレクターを務めており、メンズコレクションを立ち上げるなど、新たな風を吹き込んでいます。



・ベルルッティ(Berluti)

アレッサンドロ・ベルルッティによって創立したフランスのラグジュアリーブランド「ベルルッティ」。

高級皮革で作られた紳士靴やバッグ、財布は、レザーの品質の高さもさることながら、独自の染色技法によって表現される、発色の美しさにも定評があり、ベルルッティなら他にはないこだわりのレザーアイテムを手に入れることができます。



・マーク・ジェイコブス(MARC JACOBS)

ニューヨーク出身のデザイナー、マーク・ジェイコブスによって立ち上げられたアメリカのラグジュアリーブランド「マーク・ジェイコブス」。

トレンド感のあるベーシックなバッグやアクセサリーを展開し、鮮やかな色使いのアイテムが多いことから、20代の女性にも支持を得ており、ライフスタイルに合わせた幅広いスタイルを提案しています。



・エミリオ・プッチ(Emilio Pucci)

“プリントの王子”の異名を持つエミリオ・プッチによって創立したイタリアのラグジュアリーブランド「エミリオ・プッチ」。

プッチ氏が生み出した革新的なプリントデザインは、”プッチ柄”と呼ばれるようになり、持っているだけで気分が明るくなりそうなプッチ柄をプリントしたアイテムは、現在も多くの人々から熱烈な支持を得ています。



・ケンゾー(KENZO)

ファッションデザイナーの高田賢三が手掛け、フランス・パリに本店を構えるラグジュアリーブランド「ケンゾー」。

タイガーモチーフなどの大胆なデザインが多いことからセレブリティだけでなく、ストリートシーンでも根強い人気があり、自然や文化を織り交ぜたケンゾーならではの独創的なモードスタイルを提案しています。



・パトゥ(Patou)

1914年創業のフランスのラグジュアリーブランド「パトゥ」。

ヨーロッパで最もエレガントな男性と呼ばれたジャン・パトゥによって誕生したパトゥは、2018年にフランス人の人気デザイナー、ギョーム・アンリをアーティスティック・ディレクターに迎え入れ、フレッチシックな女性らしいファッションを展開しています。



・モワナ(MOYNAT)

1849年創業のフランスの老舗ラグジュアリーブランド「モワナ」。

高級トランクメーカーとして誕生したモワナは、1900年代以降にはトランクからインスピレーションを得たバッグが数多く登場するようになり現在はトランクやバッグ以外にも財布やカードケース、アクセサリーなど幅広いアイテムの展開を行っています。



・ロロ・ピアーナ(Loro Pian)

北イタリアを拠点とする、ラグジュアリーブランド「ロロ・ピアーナ」。

カシミヤやウールと言った貴重な高級素材をふんだんに使用したテキスタイルやラグジュアリーグッズを展開し、創業以来90年以上続く伝統に最先端のテクノロジーを組み合わせたハイクオリティなアイテムを提供します。



・リモワ(RIMOWA)

ドイツ・ケルンで創業したラグジュアリーブランド「リモワ」。

ブランドのアイコニックであり、ドイツのクラフツマンシップの結晶と言われるアルミニウムのスーツケースは、デザイン性と耐久性の両方を兼ね備え、今もなお多くの人々に愛されています。

2.ワイン&スピリッツ



・モエ・エ・シャンドン(Moet & Chandon)
・ドン・ペリニヨン(Dom Pérignon)
・シャトー ディケム(Château d’Yquem)
・ルイナール(Ruinart)
・ヘネシー (Hennessy)
・ヴーヴ・クリコ(Veuve Clicquot)
・アードベッグ(Ardbeg)
・シャトー シュヴァル ブラン(Château Cheval Blanc)
・クリュッグ (Krug)
・グレンモーレンジ (Glenmorangie)
・メルシエ(MERCIER)
・シャンドン (HANDON)
・ケープ メンテル (Cape Mentelle)
・ニュートン(Newton Vineyard)
・クラウディー ベイ (CLOUDY BAY)
・ベルヴェデール(BELVEDERE)
・テラザス デ ロス アンデス (Terrazas de los Andes)
・シュヴァル デス アンデス (Cheval des Andes)
など


3.パフューム&コスメティックス



・ゲラン(GUERLAIN)
・アックア・ディ・パルマ(ACQUA DI PARMA )
・パルファン・クリスチャン・ディオール(Parfums Christian Dior)
・パルファム・ジバンシイ(GIVENCHY Parfums)
・パフュームス・ロエベ(Perfumes Loewe)
・ベネフィット(BeneFit)
・メイクアップフォーエバー(MAKE UP FOR EVER)
・ケンゾー・パルファム(KENZO Parfums)
・マーク・ジェイコブス・ビューティ(Marc Jacobs Beauty)
など


4.ウォッチ&ジュエリー



・ショーメ(Chaumet)
・ティファニー(Tiffany & Co.)
・タグ・ホイヤー(TAG HEUER)
・ゼニス(ZENITH)
・ブルガリ(BVLGARI)
・フレッド(FRED)
・ウブロ(HUBLOT)
など


5.セレクティブ・リテーリング



・ボン・マルシェ(Le Bon Marché)
・セフォラ(Sephora)
・DFS
・スターボード クルーズ サービス(Starboard Cruise Services)
など


6.その他の活動



・コヴァ(COVA) *イタリア最古の菓子屋
・ロイヤル・ヴァン・レント (Royal Van Lent)  *高級ヨット製造業者
・ジャルダン・ダクリマタシオン(Jardin d’Acclimatation) *パリにあるアミューズメントパーク
・レゼコー(Les Echos) *フランスの経済紙
・オージュルデュイ・アン・フランス(Le Parisien) *フランスのニュースメディア
・コネサンス・デ・ザール(Connaissance des Arts) *芸術誌
・アンヴェスティール(Investir) 経済紙 ・ラジオ・クラシック(Radio Classique)フランスのラジオ局
など


まとめ



今回は、世界最大のファッショングループLVMHについてお届けしてきました。



これほどまでに世界的に有名なラグジュアリーブランドの名が並んでいるのを見ると、ブランド帝国と言われているのも頷けるのではないでしょうか?



飛ぶ鳥を落とす勢いで拡大し続けるLVMHに、今後も注目が集まります。

brareslab@admin

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